極東慰安唱歌

by 戸川 純

　日経、昨年（２００７年）暮れの大納会から今年４日の大発会、その後も2000円以上も下げ13000割れも果たしたという、世界に先駆け歴史的な怒濤の下げが続いております。

　今や誰も知らぬものはいない『サブプライム・モーゲッジ問題』。

　いわゆるアメリカの新移民や貧しい人を対象とした住宅ローンです。
右肩上がりの地価を想定して家を買わせ、それを債券化した毒入り饅頭が世界中の金融機関にデリバリーされ、世界のマーケットを不安と恐怖のどん底に巻き込んでしまった。。。やれ、百年に一度の大津波ーとか、戦後最悪のーとか、すわ大恐慌の再来ーとか・・・。　

　グロバリゼーションの進んだ世界はまさしく災難も” 世〜界はひぃとぉつ〜ぅ”、 否応なく世界中がこの未曾有の危機に悶えています。

　ああ、不動産バブル、、１０年以上前に日本でもそんなことあったね。
８０年代後半に買ったマンションは、あっと言う間に２〜３倍の値段が付き億ションとなった。二世代ローンとか３５年ローンとかそんなのも出てきて、そしてバブルがはじけ日本が”失われた１０年”と称される暗黒に突入していく頃、リストラされ家を追われ至るところで一家離散、自殺者は毎年三万人を越え、家庭崩壊が当たり前のように語られた。。。 　３万掛ける１０年なら３０万人。ずっと戦時下同然、戦死者は３０万人にのぼることになる。

　アメリカと運命共同体の日本、、今後の動向が気になるところ。
景気減速かリセッション入りか、ディカップリングかリカップリングか、そんなどうでもいい言葉の定義をめぐって一喜一憂し、株価は日々激しく上下する。 

　毎日、先物焼夷弾の雨あられ。
何やらリンク債やら仕組み債とやらのノックイン価格を巡って優良株も狙い撃ち、歴史的な廉価な株価をつけるが、日本は為す術もなく現在まさしくフリーフォール状態。

..... 本土決戦も間近かー？

　今度、焦土と化した本土に上陸してくる禿鷹は、どんな目の色肌の色をしてることだろう。。。 　

　災難や不幸はいつも大嵐の暗雲の土砂降りの日にやってくるとは限らない。
むしろ、キラキラ輝く朝日の中とか、雲ひとつない晴天の日にとか、澄んだ夜空に煌々と輝く月夜の晩とか、、、。
汚れなき子供の笑い声や少女たちの歌声が、突然、幻灯機の電源が落ちたかのように途切れ場面が転換する。

　青い空、やわらかな光、澄んだ月、、、。

　どこまでも続く青い空に爆音が鳴り響き、黒い煙が蒼穹に幾すじかの染みをつけていく。民衆の号泣は輪を描いて空にこだまし、そして遥か上空に運ばれ、、、いつしかすべてが蒼に融け静寂が蘇る。。。

　涙はそんな時、遥か上空でキラキラ透き通った水晶の結晶になるんだろうか。

　そう、、蒼空と一体化し、限りなく透明な哀しみーみたいな。。。

・・・・甲高い透き通った純ちゃんの歌声を聞きながら、 神さまのことを想った。

２００８年　１月１９日　記事転載

madam SHABADAのObasan-館 > Essay > 極東慰安唱歌