砂の城男

イパネマの娘（Garota de Ipanema)

はしゃぎすぎた夏は

いつも駆け足で去っていく

あの男も そう .....

ドタバタドタバタ

まあ
季節の変わり目はいつもこんな感じ 　　　　　　　

詩人はいいね　

言葉の錬金術師

石ころの言葉集めては　
ギュッと時を凝縮して

たったひとつの煌めく宝石に変えるの 　　　　　

今年撮った写真を少し整理してみた

けっこう使える

ーけど加工した途端　
時が止まった気がした

うれしいような寂しいような .　　　

止まった時はもう　
自分だけのものではないみたい　　 　　　　　

　　　　　　

パレスのような砂の城を造っている男を見たの

ふふっ　
日本人なら　せいぜいうさぎ小屋なのにね 　　　　　

それにしても　この男　

誰にほめられたくて　
こんなの造ったんだろ

どんな堅牢な城でも　
いつかは大きな波がひとさらい

小さな家も　ガラクタ小屋も　
海の彼方へ　ひとさらい

もしかしたら　この男　
大きな波をずっと待っていたのかな 　　　　　

ひけらすことにも飽きちゃって ？

造ることにも疲れちゃって ？

それとも
誰も気づくことのない
自らの失敗をひとり嘆いてー？ 　　　　　

そしたらも一度　
最初から造り直せるのになって .... ？　　　　　 　　　　　　　　

　　　　　　　　

スラップスティクなショーも　
今日で店仕舞い　

波が幕を降ろしていく

空にこだました嬌声も
色鮮やかな水辺に咲いた花も散り散り

先のことはわからない　

あるのは今日と　
そう

波間に浮かぶ昨日の微塵だけ

だから今はただ　
永遠の時に抱かれ　
ひとり 　波の音を枕に　眠ろうか

さらさらさらさらと波が運ぶ　
新しい砂の積もる音だけ .... 　　　　　

そしたらなんと　あの男　
やっぱり舞い戻ってきた

ふたたび砂とじゃれ始め　
新しい城　造り始めた 　　　　　

せっせとひとりで　
せっせと寝る間惜しんで
もっとりっぱな　
もっとソリッドな 　　　　　

あはは
もっともっと大きな波に挑戦するみたいよ 　　　　　 　　　　　　　

それにしても　この男　
ネェ　まだ　気付かないのかな　 　　　　　

一体　誰と　
自分が遊んでいるのかってサ

それともホントは　
気付いているのかな　

海の向こうを気にしてる

　　　　　　　　

そう ....

その砂も　あの砂も　

ふふっ
みんなみんな　

この海の波が運んできたのよ .....

2007年 9月12日　他ブログより転載

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